正義の変身ヒロインを支える俺と悪の女幹部
正義の変身ヒロインを支える俺と悪の女幹部
管理人の一言:「シャイニング・フェアリーパワー・チャージアーーップ!!」高らかなかけ声と共に、拳を空にかざす。降り注がれる聖なる光。きらめく光の中で彼女が姿を現す。妖精のパワーを宿した正義の戦士。その名も――「天に星、地に花、人に愛!聖なる力を持つ乙女、セイントフェアリー!!」いつものセリフを決めて、ビシッと敵を指さす。正義に燃える熱き心。凜々しく。可愛く。そして強い。彼女がセイントフェアリーだ。「グハハハハハハ!!性懲りもなく現れたな、セイントフェアリー!!」「ブルガーン!今日こそ決着をつけてやる!!」「それはこちらのセリフよ!!貴様の小賢しいフェアリーの力など俺はすでに見切っている!!」「むっかーー!一回ちょっと勝ったくらいで偉そうに!!この前とは違うんだからね!!」「口ばかり達者な小娘が。諦めてホーリージュエルを渡すがいい」「誰がお前たちなんかに渡すもんか。ホーリージュエルも、みんなの希望も、わたしが全力で守ってみせるんだから!」「この愚か者が!」ブルガーンが雄叫びを上げた。岩石のような身体にぐわっと力がこもる。轟音を立てて大地を蹴り、セイントフェアリーに接近すると、破砕槌のような拳を振り下ろす。セイントフェアリーは天高く跳んでそれを躱した。ドガアアアンッッ!!!空振りしたブルガーンの拳が地面をクレーターのように打ち砕く。「くらえっっ!!フェアリーキィイイイイック!!!」空中で軽やかに一回転してのキック。妖精の力はセイントフェアリーに人間を遙かに超えた身体能力とパワーを与えてくれる。だが――「甘いわ!!」ブルガーンは両腕をクロスさせ、セイントフェアリーの蹴りを真正面からガシイイッと受け止めた。さすがはダークデザイア四天王の一人。今まで闘ってきたジャドウたちとは訳が違う。「セイントフェアリー!長引くとまずい!!例の作戦で一気に勝負を決めるんだ!!」「うん了解!!」セイントフェアリーは素早くブルガーンから距離を取った。「小僧!またくだらぬ入れ知恵をしおったな!!なにを考えたか知らんが、そんな小細工など真の力、圧倒的なパワーの前にはなんの役にも立たぬことを教えてやるわ!!」「こらあっ!公一を馬鹿にすんな!くだらない入れ知恵かどうか、今からこのわたしが全力で教えてあげるんだから!!」ブルガーンと対峙したセイントフェアリーは右手を天高く突き上げた。「聖なる力よ、わたしの手に集まって!!」その願いに答え、聖なるエネルギーが手のひらに集まってくる。その聖なるエネルギーを押し固めるように拳をギュッと握りしめた。「フェアリーマグナム!!」必殺技のモーションに入ったセイントフェアリーをブルガーンが嘲笑した。「ブァハハハハッハ!!この愚か者めが!!そんな技はもう俺には通用せんわ!!それで無様に逃げ帰ったことをもう忘れたのか!!」「忘れるもんか!だから!!」セイントフェアリーはブルガーンを睨み付け、今度は左手を高く掲げた。「聖なる力よ、こっちの手にも集まって!!」聖なるエネルギーが左手にも集まっていく。「なにっ!?」「フェアリーマグナム!ダブル!!」高らかに叫ぶ。今や両の拳が聖なるエネルギーで光り輝いていた。「ダブルだと!?おのれちょこざいな!!一つが二つになろうが受け止めてくれるわ!!」ブルガーンは腰を落として、両の拳にググッと力を込めた。やはり正面から受け止めるつもりだ。それがダークデザイア四天王一のパワーと豪語するブルガーンの誇りなのだ。「セイントフレアー!!!!」セイントフェアリーは聖なる光に包まれてブルガーンに突っ込み、「はぁああああああああああああああああっっっ!!!」渾身の力で右拳を繰り出した。「があああああああああああああっっっ!!!!」ブルガーンが吠えた。岩のような身体がビリビリと激しく震える。ガシィイイイイイイイイインッッッ!!!聖なるエネルギーと暗黒のエネルギーが正面からぶつかり合った。セイントフレアーをブルガーンは両手で確かに受け止めていた。でもそれは右拳だけだ。まだ左拳が残っている。「うぐ……ぐぐぐ……う、動けん……これは……」ブルガーンは右拳を受け止めた姿勢のまま動くことができない。「やっと分かった!?お前はセイントフレアーを防げるけど、そのためにパワーを全開にしなきゃならないんだよ」「き、貴様っっっ!!」「いくらお前でもパワーを全開にしたらしばらくは動けない。だから!!動けない間にこっちでぶん殴る!!そうでしょ、公一!!」「いけえ!セイントフェアリー!!」「食らえ!!セイントフレアー!ダブル!!!」セイントフェアリーは硬直状態のブルガーンのどてっぱらに左拳を打ち込んだ。「貫けえええええええっっ!!!」左拳の力がブルガーンに一気に流れ込み、かろうじて抑えていた右拳の力もドッとそこに加わる。「ぐああああああっっっ!!!」ビキィイイイイイイイイイインンッ!!ブルガーンの叫びと共に、ガラスを割れたような音が響きわたった。ブルガーンの腹から小さなひび割れが全身に広がっていく。聖なるエネルギーが悪に染まったブルガーンの身体を破壊――いや、浄化しているのだ。「ブルガーン!今度はちゃんと素敵な妖精に生まれ変わりなさい!!」「おのれセイントフェアリー!!おおお許しください!!ダークデザイア様あああああああああああっっ!!!」パキッ、パキッ、パキパキパキッッ――パリーーーンッ!!ブルガーンの身体が甲高い音を立てて砕け散った。闇のエネルギーで満ちていた岩の身体はキラキラした光の粒になって大地に散っていく。ダークデザイア四天王の一人、汚れた土から生まれた妖精幹部ブルガーンのそれが最期だった。ブルガーンが消えると、周囲に満ちていた邪悪な気配が引いていく。ブルガーンが地面に開けたクレーターのような穴も元に戻った。セイントフェアリーは人々から希望を奪おうとするダークデザイアの魔の手から今日もみんなを守ったのだ。
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